- 菌ちゃん農法を試したいけど糸状菌って簡単に育ってくれるのかな?
- 畝を作って3ヶ月経つけど糸状菌が見つからない…
- 糸状菌が育ちやすくなる方法を教えて!
菌ちゃん農法において糸状菌は重要で様々な役割を持っています。
そんな糸状菌ですが、畝の中で成長・繁殖をさせるのは意外と難しく、糸状菌が上手く育たなかったことが原因で菌ちゃん農法が失敗してしまったという方は非常に多いです。
そこで、この記事では菜園アドバイザーとして働く筆者が「糸状菌が育ちやすい環境を作る方法」について詳しく解説していきます。
この記事を読むことで糸状菌を簡単に育てることができ、菌ちゃん農法が失敗しにくくなります。
- 糸状菌とは何かについて分かります
- 菌ちゃん農法で糸状菌がどのような役割を持っているか分かります
- 糸状菌が増える条件が分かります
- 糸状菌が育ちやすい環境の作り方が分かります。
糸状菌とは
糸状菌とは菌類の中でも菌糸を持つ種類のことを指します。糸状菌は一般的に「カビ」として知られており、自然界の様々な場所に生息しています。
糸状菌の特徴は、名前の通り糸状の構造を持つことで、菌糸を形成し、胞子によって増殖します。この菌糸は栄養分の移動に使用され、自身に栄養を取り込んだり、他に移動させたりします。
糸状菌は非常に多様な環境に適応しており、空気中、水中、土壌(特に多く、土壌微生物の中で最も数が多いとされる)植物や動物の体表や体内など、様々な場所に生息しています。
人間の生活に良い影響を与えてくれる有用な糸状菌として
- しいたけなどの食用キノコ
- 発酵食品に使われる麹菌
- 植物の根と共生関係を築く菌根菌
などが挙げられます。
菌ちゃん農法における糸状菌の役割
糸状菌は菌ちゃん農法において以下のような役割を持っています。
- 野菜の根と共生し、野菜に栄養分を運ぶ
- 畝全体に菌糸を伸ばし、土壌の団粒構造を形成する
- 有機物を分解し野菜が吸収できる栄養に変換する
このような糸状菌の特性を利用した栽培方法により、野菜が無肥料・無農薬で栽培できるのです。
糸状菌が育つ条件
糸状菌が育ちやすい環境を作るために、まずは糸状菌が育つ条件について知っておきましょう。
糸状菌が育つためには以下の4つの条件が重要です。
- 適度な水分
- 温度
- 空気(酸素)
- えさとなる有機物
それぞれについて詳しく解説していきます。
適度な水分
糸状菌が繁殖・成長するためには適度な水分が必要です。
水が全くなくカラカラの状態では生物は生きることができませんし、反対に水浸しだと呼吸ができず育ちにくくなります。
水分量は「土を握ると軽くまとまり、揺らすとホロホロと崩れる」くらいが適切です。
温度
糸状菌の成長には温度が欠かせません。
具体的には15℃から35℃ほどの地温が糸状菌が成長するうえで最適とされています。
年間を通してなるべくこの温度から地温が外れすぎないようにしましょう。
冬と夏における地温調整・管理については下の文章で解説しています。
空気(酸素)
糸状菌は好気生物といい、空気が十分にある環境で成長・繁殖します。
土に空気を送るための方法は様々ありますが、有機物を土に混ぜておくことや団粒構造が形成されている土を使用することが効果的な手法として挙げられます。
えさとなる有機物
糸状菌が繁殖するにはえさとなる有機物が必要不可欠です。
糸状菌は特に有機物の中でも炭素の多い有機物を好み、菌ちゃん農法の公式書籍でも推奨されています。
炭素が多い有機物
- 丸太
- 朽ち木
- 落ち葉
- 籾殻
- 竹など
より詳しい菌ちゃん農法における有機物選び方については以下の記事で解説しています。
<菌ちゃん農法で使う有機物を徹底解説!|丸太や竹などの役割や入手方法がわかる>
糸状菌が育ちやすい環境を作る方法4選
ここまで糸状菌が持つ役割や糸状菌が育つ条件などについて解説してきました。
続いては糸状菌が育ちやすい環境を作る方法とその注意点について解説していきます。
以下で紹介することを実践するだけで2ヶ月後には畝全体に糸状菌が貼り巡っているようになります。
- きちんとした高畝を作る
- 多様な有機物を大量に入れる
- 有機物が全て分解される前に足す
- 地温の管理をする
それぞれの具体的な方法や注意点について詳しく解説していきます。
きちんとした高畝を作る
菌ちゃん農法の特徴である高畝は明確にサイズが決められています。
- 畝幅:130cm以上
- 高さ:45cm以上
このサイズを下回ってしまうと排水性が劣ったり入れられる有機物量が減少してしまい、糸状菌が十分に育たない可能性があります。
そのため畝幅と畝の高さはきちんと計測することが重要です。
菌ちゃん農法の畝づくりに関しては下の記事で写真付きで実践解説しています。併せてご覧ください。
多様な有機物を大量に入れる
糸状菌のえさとなる有機物は大量に入れるようにしましょう。
特にスターターと呼ばれる畝の上にのせる有機物が重要で糸状菌が増殖するためのきっかけとなります。
そのためスターターには比較的分解されやすい落ち葉や朽ち木、小枝を使用することがポイントです。
また、多様な有機物を入れることでさらに糸状菌の活性化に期待できます。
有機物が全て分解される前に足す
有機物は意外と早く分解され、無くなってしまいます。
有機物切れにより糸状菌の成長を邪魔してしまわないように全て分解される前に足しておきましょう。
具体的には落ち葉が半年ほど、小枝・竹・籾殻が1年ほどで分解されます。
定期的に散水をする
先述したとおり、糸状菌は水分が無いと成長しません。
そのため、定期的に畝全体に散水する必要があります。
マルチシートをしている場合は1ヶ月に一度以上、マルチシートを使用していない場合は1週間に一度ほどを目安に散水するようにしましょう。
また、散水の際は表面だけでなくしっかりと畝の内部まで水を浸透させるようにしましょう。
土を握ると軽くまとまり、揺らすとホロホロと崩れるくらいが適切な水分量となっています。
地温の管理する
糸状菌の育ちやすさは地温に大きく影響されます。
糸状菌が育ちやすい最適な温度は15℃から30℃とされており、年間を通しておおよそこの温度内に地温を保つことが重要です。
では、どのようにして地温を調節・管理するのでしょうか。
当サイトではマルチシートの色を季節に合わせて変えることで地温を調整する方法をおすすめします。
地温調整の具体例
夏には地温上昇を抑えてくれる白色マルチシートを使用しましょう。
冬には地温が上昇しやすい透明マルチシートがおすすめです。それ以外の季節に関しては黒色マルチがおすすめです。
季節に応じてマルチシートを変える余裕がない場合は常に黒マルチを使用しておけば問題ありません。
菌ちゃん農法で糸状菌を増やす方法まとめ
この記事では菌ちゃん農法における糸状菌の役割や糸状菌が育ちやすい環境の作り方について解説してきました。
しっかりと理解できましょうか。
この記事の要点をまとめると以下の通りです。
- 糸状菌には「野菜に栄養を運ぶ」「土の団粒構造を形成する」「有機物を栄養に変える」という3つの役割がある。
- 糸状菌が育ちやすい環境を作るには「高畝」「有機物」「水分量」「地温」の4つの要素が重要
この記事を参考にぜひ菌ちゃん農法に挑戦してみましょう!
コメント